日記のようなもの

都合の悪い部分はフィクションとします。

群青

一昨日は僕が住む町の夏祭りがあった。ここ3年くらいは近所のマンションに住む中学からの友達と一緒に行くのが恒例になっていた。その日はバイトも休みで夕方になるまで空調の効いたリビングのソファで微睡んでいた。微睡みの中でスマホが鳴っている事を思い出して見てみると、祭りに何時に行くか、行くなら早く行こうと連絡が来ていた。シャワーを浴びたら行くと返し、僕なりになるべく急いでシャワーを浴び、湿気で暴れる髪を制御して、カメラのバッテリーを入れ替えて1時間後に家を出た。近所のコンビニに向かってる、そこで集合と連絡を入れ、コンビニで缶チューハイを買って一足お先に駅の方から聴こえるお囃子に乾杯した。辺りが少し翳ってきた。タバコを二本吸い終わっても友達からの連絡が無いので、あぁ、またこのパターンか。と思い彼のマンションに迎えに行く事にした。彼には遅刻癖がある。僕がいたコンビニから彼のマンションまでは普通に歩いて5分もしないから大した苦労ではない。この時間なら仕事帰りのサラリーマンが多いからエントランスのオートロックを抜けるのは簡単だ。昔からやっているこの建物への侵入手段だ。彼の家は9階にある。ここに来るのは1年ぶりくらいなのにやけに小さく感じるエレベーターに違和感を感じつつ9階で降りた。このマンションの外廊下はこの町の田舎側に面している。つまり見渡す限り低い民家と畑と田んぼばかりだ。そのどれもが真っ青に染まっていた。世界に群青のフィルターがかかるこの時間が僕は特に好きだ。僕は早朝の群青も好きなんだけど、君はどっちが好きかな。あんまり興味ないかな。4ヶ月も前に別れた元恋人の事を考える癖が抜け切らない。この色の時は特に酷いな。そんなこと考えながら彼の部屋の近くの、昔は集合場所に使っていた外階段の踊り場でタバコを吸っていると「シャワー浴びてた」と返信が来た。やっぱりか。

嘘つきは死なないし争いはやまないし欲しい物は尽きないし悲しみは消えない

もう19時を過ぎた頃だ。

早く祭りに向かおう。

あんず飴が食べたい。