日記のようなもの

都合の悪い部分はフィクションとします。

蒼き日々

今日もあっという間にバイトが終わった。今日はドリンクを作る担当の人がいなかったので何回かやった事のある僕が担当になった。大きい店なのでオーダーが止まらない。今日は予約が多かった。居酒屋でドリンクを作ったことがない人には意外に思われるかもしれないが生ビールを注ぐのが一番面倒なのだ。暇な時に30杯作り置きしておいた生ビールもすぐに底をつき手が追いつかなくなった。そういう時はいつもベテランのお兄さんがすぐに気付いて手伝ってくれる。その人はあっという間に溜まっていたオーダーを片付けてしまう。僕は卑屈になった。この人のようには動けないなと思うし僕の必要性を考えてしまう。すいません。ありがとうございます。すいません。

先週の月曜日に一次面接の不合格通知がメールで届いてから就活をしていない。前向きに物事を考える事が出来なくなっている。これからの自分の人生が全く想像できない。

先週の水曜日。学校の友達と飲む約束をしていてバイト終わりにそのまま新宿で集合した。前日に呼びかけた割には五人も集まった。たまたま翌日はみんな何も予定が無かったのでこの機会を逃すまいと朝から江ノ島に行くことになった。酔った勢いだった。

江ノ電江ノ島駅から江ノ島までの道で既にみんなかなり疲弊していた。路地裏を辿った先の磯辺で小さな蟹を捕って遊んだ。まだ営業前の江ノ島エスカー。階段を登る元気も勇気もなく鳥居の前の階段で休んだ。友達の一人が埼玉北部に住む友達に来いと連絡をした。冗談のつもりだったがなにやら準備をしているようだった。マジか。

江ノ島まで来た目的の一つは海鮮丼を食べる事だったが開店まではまだ2時間近くある。お店の前、江ノ島の入り口付近のインフォメーションの建物の後ろに陣取った。一人は皮膚を紫外線に当たるために上裸で寝ていた。僕達はそいつの知り合いだと悟られないように離れた日陰でタバコを吸ったり、うたた寝したりして時間を潰した。お店が開店する間際に友人の一人が到着した。本当に来た。

じょ、冗談やん。本当に来るなよ。

六人で海鮮丼を食べた江ノ島生しらすは本当に美味しかった。目的を果たしもうみんな帰る雰囲気になっていた時、さっき到着した奴が妙に大きいリュックから海パンとレジャーシートを出して言った。「え、海行かないの?」

じょ、冗談やん。

そいつのために海に行くことになった。僕達は海パンを持って来ていない。酔った勢いだったから。

僕が先陣を切ってズボンのまま海に飛び込んだらみんなやれやれといった感じで後を追った。それから結局夕方まで海で遊んだ。ビーチボールを買って遊んだり、近くにいた小さい子達と砂で遊んだり、僕なんか横になって休んでいるところを砂で埋められたりしているのにみんなスマホをロッカーに入れていたから思い出の写真が一枚もないのが勿体無かった。でもまあ忘れる事はないだろうな。24歳で私服のまま海に飛び込む人なんて中々居ない。

砂だらけのまま江ノ電に乗り辻堂の昔ながらの銭湯で体感55℃の風呂に入りコインランドリーで服を全部洗った。

楽しい旅だった。

でもいつまでもこんな日々は続かないのだろう。

みんなすぐに大人になってしまう。

僕だけがいつまでも子供のまま

蒼き日々だけが続いていく。